3歳前から治療を続けています
夢はソフトテニスの日本代表
(Sくん(仮名)中学校1年生とお母さん)
成長ホルモン分泌不全性低身長症
主治医:古賀 靖敏先生
久留米大学病院 小児科
掲載記事の内容は、1人の患者さん・ご家族の体験談であり、
すべての患者さんに同じ効果を示すわけではありません。
お母さん:歩き始めたのが1歳5カ月くらいで、「他のお子さんよりも成長が遅いのかな」と思っていました。別の病気の治療で久留米大学病院に通っていたので、2歳を過ぎた頃に相談したら、精密検査の結果成長ホルモン治療の対象になるとのお話でした。
お母さん:自己注射に多少は抵抗があり、感染などの不安もありましたが、少しでも成長の可能性があるならと思って、治療することを決めました。
注射の方法は薬剤師さんから説明を受け、わからない時や困った時に電話する問い合わせ先も教えていただきました。(注入器の準備から後片付けまでの)工程がいろいろあるので、夜1人でうまくできるかなと思いましたが、やってみたら、思ったよりもスムーズにできました。
お母さん:2歳9カ月の時でしたが、Sが起きている時には怖くて打てず、眠った後でお尻に注射したのを覚えています。起きていると嫌がることがあるので、小さい頃は寝ている間に注射するのが基本でした。ある程度、意思疎通ができるようになってからは、起きている時に「動いちゃだめだよ」と言って注射しました。
お母さん:何回か重ねていくうちに慣れてきましたね。寝る前に注射するのですが、本人も嫌がることなく、治療に前向きに取り組むようになっています。注射をする場所はお尻か太もも。右側と左側を交互に、同じ右側でも前回よりは場所をずらして、といった感じで、同じところに繰り返し針を刺さないようにしています。
診察は4カ月に1回で、身長と体重を測り、先生が成長曲線のグラフを渡してくださいます。毎回ほめていただき、本人も「治療してよかった」と思っているようです。
Sくん:長距離を走れるようになりました。体育の授業で学校の周りを2kmとか走ります。
Sくん:最初は少し痛かったけど、今は大丈夫です。
お母さん:先生から、「針を刺す部位を1回つまんで注射すると、痛みが軽減する」とアドバイスしていただきましたので、毎回そうしています。
Sくん:小学3年生からソフトテニスを始めて、今も中学校の部活動で続けています。(ダブルスを)仲間と協力してプレーするところが楽しいです。
お母さん:ペアを組むお子さんとは小学生の時に地域のクラブで出会ったのですが、そのお子さんも成長ホルモンの治療をしていたのです。お互いが治療を続けながら、6年生の時には2人で全国小学生ソフトテニス大会に出場しました。中学校でも同じ部活で頑張っています。
Sくん:自分より強い選手と戦いたい。今のところは、ソフトテニスで日本代表になることが夢です。
Sくん:最初は注射が嫌かもしれないけど、続けるのがよいと思います。
お母さん:自己注射に抵抗や不安があるかもしれませんが、先生、看護師さん、薬剤師さんがていねいにやり方を説明してくださると思います。治療を始めて効果が出てくると、やってよかったと思うでしょう。
※掲載記事の内容は一人の患者さんの体験談であり、全ての患者さんに同じ効果を示すわけではありません。
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先生からのメッセージ
小児難病を基礎疾患に持つ患者さんで、経過中に低身長が判明し、成長ホルモン分泌不全性低身長で10年以上治療されています。本来は、原疾患による成長障害が出ることが一般的ですが、本児は原疾患治療も含めて非常に経過良好です。今では平均身長以上に順調に発育されています。将来の夢がかなうと良いですね。