監修:安達 昌功先生
(昭和大学医学部 小児科学講座)
子どもは毎日少しずつ成長・発達をしています。身長の伸びもそのひとつで、子どもはその子のペースで、毎日少しずつ成長をしています。
身長の伸び方は、年齢によって異なります。乳児の成長が最も顕著で、年間10㎝以上も伸びます。その後、幼児から学童にかけては、毎年少しずつ伸びが鈍っていくのが普通で、次に大きく伸びるのは思春期の頃です。
子どもの成長には大きな個人差もあります。乳児期の成長は、栄養状態の影響を強く受けますし、2歳以降になると、両親の身長などの遺伝の影響が強く現れてきます。2歳以降では、成長ホルモンなどのホルモンの影響も強く受けるようになります。思春期の開始時期については、さらに大きな個人差が生じます。一般的に、女子は思春期が早くなりやすく(思春期早発と呼びます)、男子は遅くなる(思春期遅発と呼びます)傾向にあります。
子どもが成長できる時期は限られています。思春期の進行に伴って成長のスピードは次第にゆっくりとなり、成長の終わり(=成人身長)に近づいていきます。この理由は、細胞の視点からは、次のように説明されています。骨の末端近くにある「成長板」(骨端線とも呼びます)には軟骨細胞が存在し、これが増えることで骨が長くなり、身長が伸びます。思春期が終わる頃には、この軟骨細胞が骨の細胞に置き換わるため、この段階で成長が終了するわけです。
子どもの成長、すなわち軟骨細胞の増殖を最大限に引き出すためにはどうすればよいか、お悩みの方も多いと思います。子どもの成長には、遺伝的に決まっている部分もありますが、栄養と食事、睡眠、運動など、工夫により改善できる重要な要素もあります。
次の項目からは、子どものすこやかな成長のために、具体的にどういったことをすればよいか見ていきましょう。
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